「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第59回>
OSG Canada Ltd. / オーエスジー(株)
吉川 健一 President




7月から商工会に加入されたオーエスジーカナダさんにお邪魔してきました。場所はBurlington、ロビーには製品が展示されたショーケースが飾られていました。様々な分野で役立っている製品について、また吉川社長の面白いご経験について、お伺いしてきました。


(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(吉川氏)OSGカナダは、 鉄を削ったり、鉄にネジを立てたりするような切削工具を製造販売している会社です。設立は1988年、社員数は31名です。日本本社は1938年に設立され、愛知県豊川市にある本社工場を含め、日本国内の工場拠点は5カ所、営業拠点は34ヵ所、世界には9カ所の工場と販売会社を含めると25カ所以上の拠点があります。OSGカナダは元々OSGアメリカの拠点としてできた会社ですので、100%アメリカ出資の子会社です。カナダの生産拠点はここオンタリオのみです。

(松田)お客様はどのような方が多いのでしょうか。

(吉川氏)お客様は9割5分がカナダもしくはアメリカの会社です。カナダにはたくさんの日系企業がありますが、カナダ国内では輸入した部品を組み立てるのみで、切削を行っている会社は多くありません。そのため、直接の取引はあまりないのが現状です。一番大きな市場は約3割を占める自動車産業ですが、弊社の商品は、自動車、航空機、家電、精密製品、ガス油田、また医療等と幅広く使われています。

(松田)商品についてご説明いただけますか。

(吉川氏)主な商品は、鉄を削るエンドミル、穴を開けるドリル、ネジを切るタップがあります。エンドミルというのは、特に自動車の金型製作に使用されますが、東部の方にある飛行機産業でも使用して頂いています。ドリルは髪の毛に穴を開けるような繊細なものも作っていますが、小さなものは主にアジアの市場で、北米ではあまり需要はありません。医療分野では、インプラントの治療等、骨に穴を開ける施術の際にタップが使われております。iPhoneやiPadに使われているネジも全て我々の商品を使って頂いております。直径が1mmで山の部分が0.25mmと小さなネジを使っていますが、今度発売されるiPhone5はネジの数が減ってしまうので、ちょっと参ったなと思っています(笑)。

(松田)商品の種類はどのくらいあるんですか。

(吉川氏)4、5万種類はあります。例えばお客様が1つの金型を作る際、必要な全ての工具に対して必要なサイズが全て揃っていないと、お客様は弊社を選んでくれません。正直出ない商品もたくさんありますが、既成商品で求められるサイズを全てカバー出来るよう、出来る限りの種類を用意しています。

(松田)今一押しの商品はありますか。

(吉川氏)最近力を入れているのは、フェニックスという金型製作等の際に初めに大きな荒取りをする刃物です。自動車産業ではもちろんですが、ペットボトルやペットボトルのキャップの金型を製造されている会社にも使って頂いています。「Tic Tac」というミントがありますよね。そのケースの金型を作っている会社がカナダにあり、そちらでも使って頂いています。

(松田)吉川社長はOSGカナダにおいて初めての日本人社長ということですが、来られた理由は何でしょうか。

(吉川氏)北米のビジネスと日本のビジネスは、ゴールや目的は同じでもプロセスややり方がかなり違います。そこで徐々に障害がでてきたため、協合させるためにきました。日本のやり方を植え付けにきたというわけではありません。文化の違いや考え方の違いはもちろんありますが、会社は同じで、ゴールも同じ。それならば、より円滑に業務をまわすことができるよう、日本と北米のビジネスを融合できるよう、カンフル剤のような役割を担うためにきました。

(松田)具体的に既に何か実行されたことはありますか。

(吉川氏)オフィスの改築を行いました。元々このビルの全てのオフィスは、1つ1つの部屋になっている北米スタイルでした。顔をみることもできず、話をするためにわざわざ人のオフィスのドアを開けなければならず、これこそ「壁」だなと思っていました。そこで、全てのオフィスのドアにはガラス窓を付け、一部のオフィスの壁をぶち抜き、オープンにしました。また、元々倉庫となっていた二階部分も壁やドアを取っ払いフラットにし、日本式のオフィスの様に作り替えました。

(松田)大胆な改築ですね。従業員の反応はいかがでしたか。

(吉川氏)もちろん最初はすごい抵抗がありました。しかし、だんだん慣れてくると、ころっと変わって「座りながら人としゃべることができて、なんて便利なんだ」と言い喜んでくれています。私は今カナダに来て1年ほどですが、カナダ人はとても保守的だと思います。新しい提案に対して、まず「Yes」ということはありません。
弊社本社のある東三河は気候も温暖で山と海に囲まれた非常に恵まれた地域で、人々もとても温和で平和的ですが、そのかわり、外から来るものに対して強い抵抗を示します。カナダ人と三河人には共通のものを感じますね。そして、カナダ人はまず「No」から入るのに、一旦それが上手くいくと、まるで自分が言い出したかのように認めてくれるというのも面白い特徴だなと思います。
こういった変化を実行できたのも規模の小さい会社ならではと思っています。OSGアメリカはもっと規模が大きいので、大きな変化を施すことは難しいと思います。OSGグループの中で、カナダを羨ましいと思える会社にすることも目標の一つですので、こういった改革からグループの中で際立つような良い雰囲気をつくり出して行きたいと思っています。

(松田)それではこの辺りで、吉川社長のご経歴についてお伺いいたします。

(吉川氏)出身は三重県の鈴鹿で、入社は1992年、バブル期の入社です。入社を決めたのは、当時、家賃も光熱費も車もガソリン代も全て会社が提供してくれるという待遇に惹かれたためです(笑)学生だったので、とても単純に損得で計算していましたね。入社後は、10年間かけて、大阪、広島、浜松、岐阜と日本国内4カ所に転勤し、2002年からタイに赴任しました。片道切符で行ったタイには結局9年間滞在し、突然カナダへの辞令がでて、2011年にやってきました。

(松田)タイでのご勤務はいかがでしたか。

(吉川氏)タイでの経験は私にとって非常に面白いものでした。私がタイに赴任した当初は、ちょうど高度成長期で、どんどんと経済が発展し、まるで自分がタイムスリップしたような気分になりました。日本を見ているので、未来に起こることを知っている気がするんですね。私が赴任した2002年前後から2006年の間は多くの日本企業が一気にタイに進出し始めた頃でした。我々の会社は非常に小さな会社だったのですが、市場の流れと波に乗り、年々売り上げが倍、倍、倍となり、正直何が起こっているのかわからないくらいの成長ぶりでした。最終的にはここカナダより5倍程大きい自社工場を作れるまでになりました。

(松田)その後カナダに来ていかがでしょうか。

(吉川氏)タイでの生活は文化も言葉も違うので、最初はもちろん戸惑いましたが、タイからカナダに来た去年の方がもっと戸惑っていたかもしれません。タイでは労働賃金が安いこともあって、人を雇う時には10人単位で一気に雇うことも可能でしたが、カナダではそうはいきません。
また私が赴任した当初は、タイでは一人のワークパーミットに対して7人の現地人の雇用を保証しなければなりませんでした。しかし弊社はそんなに規模の大きい会社ではなかったので、会社の従業員の他に運転手やお手伝いさんを雇わなければ賄いきることができず、そのためどこに行くにも運転手付き、家事はメイドさんがしてくれるといった恵まれた生活をしていました。そんな生活に9年間どっぷり浸っていたので、私も家族もギャップに慣れるのが大変で、去年の1年間はまるで普通の生活に戻るためのリハビリのようでしたね。

(松田)稀有な経験をされていますが、吉川社長がお仕事をする上で大切になさっていることはどのようなことですか。

(吉川氏)自分のゴールを明確にし、目的意識を持つことです。それが仕事でもプライベートでも構わないので、ゴールを設定し、日頃からそれを意識することは、日々も有意義なものにつながると思いますので、従業員にもそれを実行して欲しいと思っています。

そこで、今社内で「一番政策」というものを行っています。従業員一人一人に「お前の一番は何だ」と問いかけ、一人一人にそれぞれの「一番」の意識付けを行っています。切削工具には数限りない分野がありますので、全てを弊社で賄い業界の中で一番になろうというのは簡単なことではありません。そのため、私自身は、まず会社を回転工具の分野においてカナダで一番にするということを掲げ、従業員にも日頃から伝えています。

(松田)それでは、 プライベートについてお伺い致しますが、好きなスポーツはありますか。

(吉川氏)今カナダではまっているのは釣りとカヌーです。つい先々週仕事でバンクーバーに行った際、サーモン釣りに行きました。20kgの大物が連れて感動しました。たくさん釣れたんですが、残念ながら1匹しか持って帰って来れなかったので、次回は剥製を作って持って来たいと思っています。
カヌーは日本から持ってきました。元々学生の頃から西日本各地の海でサーフィンをしていましたが、一時期、四万十川の河口付近に立つ大きな波を狙って、毎日四万十川に行っていました。ある日上流の方に上って行くとカヌーをしている人がおり、そこでカヌーを初めてレンタルしました。それが面白くて友達とはまり、カヌーを購入し、それからカヌーとサーフィンを並行してやっていました。タイではカヌーはできませんでしたが、カナダでは従業員にもカヌーをするものがいますし、近所のBurlingtonの川でもできるので楽しんでいます。

(松田)今後カナダでやって行きたいことはありますか。

(吉川氏)カナダは世界でも住みやすい国と言われていますが、カナダ生活が浅い私にとっては、まだ不便が多く、慣れ親しんだタイの方が現時点では住みやすいと思っています。タイでは病院に24時間対応の日本人専用窓口があり、日本語を話す先生も多く、待たされることもありません。日本人が5万人くらい住んでいますので、日本社会がそのままあるようでした。そのため、タイから来たばかりの去年1年間は、自分にとっても家族にとっても慣れるのに時間がかかり、疑問と不満が多い毎日でした。行動範囲も狭かったので、これからはもっと行動的に開拓していきたいですね。そしてカナダが一番だと早く言いたいです。

(松田)それでは最後に、商工会会員へのメッセージをお願いします。

(吉川氏)カナダでの生活の楽しみ方などを皆さんから色々教えて頂きたいです(笑)。カナダ人に聞いても彼らにとっては当たり前のことだらけですし、日本人であるための違いは知りません。日本人に出会うとすぐに話しかけてしまいますので、今後お会いした際にはどうぞ宜しくお願い致します。

(松田)商工会でもカナダでのビジネスや生活についてセミナーを開催しておりますので、是非ご参加ください。今日はどうも有り難うございました。





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