「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第58回>
Kubota Metal Corporation / クボタメタルコーポレーション
濱田 薫 President



商工会会員企業最北端にあるクボタメタルさんへは、2011年1月にも取材に伺いましたが、以前もご駐在されていた濱田社長が戻っていらしたということで再度お邪魔してきました。
現在、事業拡大のために新工場建設中で、建設現場も案内して頂きました。新しい事業、この2年弱の間に起きた変化、そして元々開発職である濱田社長のご経験について、じっくりお伺いしてきました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(濱田氏)クボタメタルは(株)クボタ100%の子会社です。主な事業は、プラスチックの原料となるエチレンを生成するプロセスで使用するコイルの製造。これらを石油化学関係のお客様ではエクソン社、化学系ではダウケミカル、ノバケミカル、シェルケミカル等へ納めています。これが現状90%の売り上げを占めています。あとは、鉄鋼関係の工場で薄い鉄板を製造する過程で熱処理をするための、ロールという熱処理部品の納入が約7~8%を占め、残りの1~2%は鉱山でのマイニング事業への納品です。

(松田)以前取材させて頂いた2年前と何か変化はありますか。

(濱田氏)この2年間で北米の市場環境も変ってきました。2年前はまだ北米のお客様が北米のプラントを休止し、中東地域に新工場を作り事業を立ち上げていた頃だと思います。しかし5年ほど前に北米でシェールガスが発見され徐々に基盤が整備されてきたことにより、今までの天然ガスの4分の1という非常に安価な原料と燃料でエチレンが生成できるようになりました。そのことで、北米は世界の他の地域と比べても競争力がある地域として復活し、拠点を北米に戻す会社が増えてきています。以前に休止したプラントを再稼動させるだけではなく、新プラントを設立する計画を立てている会社もありますので、我々の受注環境も良くなることが期待されています。

(松田)鋳造技術というと、職人というイメージが強いのですが、人材育成等はどのように行われていますか。

(濱田氏)コイルを製造する際、最初に行う金属の成分調整と鋳造、そして最終工程で連結する際の溶接、この2つは人の手でしか行えない特に重要な部分であり、しっかりとした技能が必要です。この2箇所においては特に多くの従業員を雇い、トレーニングをしております。また、大阪の枚方市にあるマザー工場との技術交流も頻繁に行っております。3ヶ月程前にはカナダの作業員を日本の工場へ派遣し、そして先日枚方工場から3名程カナダに来てもらい、安全管理講習を含めた技術交流を行いました。

国や拠点は違っても、同じ手法、同じ管理レベルの元でオペレーションを行い、クボタの名がつく製品は世界中同じ品質のものを提供することが弊社の目標でもありますので、個別の教育だけではなく、全体の管理レベルを同一にするため、工場間での交流は今後も頻繁に行っていく予定です。
また、ついこの間、安全衛生ISO18000の最終監査があり、今年中に取得できるのではと思っております。このカナダの工場はISO9000を1995年に取得し2008年にISO9001に更新し、私が前回赴任していた2005年に環境関連のISO14000をとりましたのでこれで3つめです。日本では3つ全て取得済みですので、カナダ工場も日本に追いつくため、取得に向けて活動をしています。

(松田)それでは、新事業についてお伺いしたいと思います。

(濱田氏)新事業は、現在行っている金属系とは全く関係がなく、自動車のブレーキパッドに使用されるセラミックパウダーの生産です。以前は石綿(アスベスト)が使用されていましたが、環境・健康に配慮した代替品として弊社がティーザクス(TXAX)というセラミックパウダーを開発し、日本で生産を始めました。現在は約50%が北米への出荷ですので、カナダに生産拠点を設け北米の出荷対応をすることとなり、現在弊社敷地内に工場を建設中です。既に整地が終わったので、今年の10月末までには建屋を、来年の1月頃までに設備を設置し、担当者の雇用やトレーニングもしながら、来年の4月に竣工式を行う予定です。約13ミリオンを投資して行う事業拡大です。



(松田)目標はどのくらいでしょうか。

(濱田氏)初期目標は、年間売上10ミリオンです。この10年間、北米への輸出を、日本車や北米車の新車に搭載する純正パッドで伸ばしてきました。近年は、新車搭載の増加および新車に搭載されたパッドの補修に加えて、カナディアンタイア等で自分でパッドを購入し付け替える“補修品市場”でも売り上げが伸びております。

TXAX使用対象の北米自動車保有台数は3億台と推測しておりますので、今後補修市場のお客様をさらに拡大し、20ミリオンくらいの事業にはなるのではないかと見込んでおります。
金属系の売り上げが年間80ミリオンですので、今年の目標値も上乗せしまして、全体で100ミリオンの売り上げを目標にしております。近年中には更にそこから1.5倍の売上高という高い目標値を掲げておりますので、前回の赴任時よりも負担は大きいもののやりがいもあり、新事業の稼動は楽しみです。

(松田)楽しみですね。御社では何か従業員へのイベント等はされていますか。

(濱田氏)7月に「サンクスBBQランチ」を行いました。半年に一回慰労という意味を込めてランチイベントを行い、またクリスマスにはプレゼントを提供したりしています。あとは、夏には業者さんも呼んでゴルフトーナメントを開催し、冬には従業員で作ったアイスホッケーのチームがいくつかありますので、そこにサポートをしています。何度か試合を見に行ったのですが、まるで日頃のうっぷんを晴らしているかのように見えて、副社長が集中的に狙われていないかと気が気ではありませんでした(笑)。

(松田)それではこの辺りで、濱田社長のご経歴についてお伺い致します。

(濱田氏)出身は愛媛県、瀬戸内海に浮かぶ弓削島(ゆげじま)という島です。隣にある因島(いんのしま)はクボタの創業者である久保田権四郎さんの出身地です。大学では理工機械系を専攻し、1980年にクボタに入社しました。入社から2000年まで20年間中央研究所におり、技術開発・改良に携わりました。そして最後の5年間くらいで、クボタの主力商品の一つでもある遠心力鋳造熱分解菅MERT(Mixing Element Radiant Tube)という製品を開発しました。その後開発した製品と共に事業部へ移り、2004年から2006年の間、ここカナダに社長として赴任しました。

(松田)初めての海外赴任はいかがでしたでしょうか。

(濱田氏)その時は、開発した製品が北米でも売れてきたということで、お客様への技術的サポートを充実させるため、そしてカナダの業態を大きくするために参りました。その頃は北米のお客様が中東に新拠点を作るということで、非常に活況を呈しておりました。そういった動向に対応するよう、日本から生産性改善のプログラムを導入し、新しい設備を設置するのではなく業務改善や設備改造をしてムダを省くようにし、2年間で約25%生産性を高め、売り上げも1.5倍以上増やしました。2007年に日本に帰国してからは日本の工場の製造部長となり、その後今年の3月までは、事業部長をやっておりました。カナダにまた戻ってきたのは、経営基盤の強化と、事業拡大のためです。

(松田)2回目のご駐在で、何か推進していきたいことはありますか。

(濱田氏)従業員数300名くらいの工場ですが、現在日本人は4名しかおりません。最終判断は日本人が決めなければと思いますが、カナダ人スタッフのみでオペレーションを遂行できるような仕組みを作り、組織を統制したいと思っています。前回も努力はしましたが、カナダ人の特質をつかむには任期が足りませんでした。今回は、前回培った経験も踏まえて、カナダ人スタッフの人材育成と組織作りに力を入れていきたいと思っています。

(松田)濱田社長がお仕事を進める上で大切になさっていることはどのようなことでしょうか。

(濱田氏)自分の考えをきっちり伝えるということです。根底に流れるコンセプトをなるべく理路整然と伝えるよう努めています。1度目のカナダ駐在のときは英語の問題もありましたし、文化の違いもあったのでしょう、初めのころは伝わっていると思っていたことがきちんと伝わっていなかったことがありました。そういった誤解をなくすために、技術屋が得意とする表、グラフ、図などを使用して、四苦八苦しながら伝えていましたが、それでも中途半端に納得せず分かり合えるまできちんと伝えるよう努めていました。今回も同じように、たとえ回り道になったとしても「聞く」「伝える」というコミュニケーションの基本(Dialog)を惜しまないこと、そして、カナダ流を尊重しながらも目標とするターゲットを揺るがさないこと、この2つを念頭に置いて引っ張っていかなければと思っています。

(松田)それでは、濱田社長のプライベートについてお伺いしますが、好きなスポーツはなんですか。

(濱田氏)好きなスポーツはゴルフです。前回の赴任時も、ゴルフを通じてたくさん交流を深めました。今でもすぐに声をかけてくれる方々がたくさんおりますが、今年は赴任後すぐに新事業の着手と慌しく過ごしており、残念ながらあまり行けませんでした。もともとは学生の頃から野球をやっており、35歳くらいまでは社内の野球部にも所属していたのですが、今は引退しました。

(松田)野球は観戦もいかれますか?

(濱田氏)行きますね。あとバスケ観戦も行きます。私はプレイはしませんが、息子がバスケットをやっていますのでバスケには興味があり、前回の赴任時は、何度もエアカナダセンターまでバスケを観に行きました。

(松田)トロントではNBAが見られますから、息子さんも嬉しいでしょうね。二度目のカナダ赴任ということで、今後やりたいことはありますか。

(濱田氏)まさか戻ってくると思っていませんでしたので、観光もたくさん行ってしまったんですよね。唯一ノバスコシアにまだ行っていないので、ノバスコシア観光でしょうか。

(松田)それでは最後に、商工会の会員へのメッセージをお願いします。

(濱田氏)駐在経験が長い方も初めての方もいらっしゃると思いますが、海外駐在をしておりますと、個人的な問題、駐在員としての問題、皆様色々な問題に出会うと思います。カナダにいる日系企業同士、そういった問題を解決し合い、少しでも協力しながら日本人としての足跡をカナダに残していければと思います。そういった中で私も前回と同様、商工会のイベント等を通じてまた交流を広げて行きたいと思っておりますので、お会いしますときには宜しくお願いいたします。

(松田)インタビューは以上です。有り難うございました。





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