「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第57回>
Toyota Boshoku Canada Inc./ トヨタ紡織カナダ
足立 記通 President


トヨタ紡織カナダさんは、オンタリオ州内エルマイラとウッドストックの2箇所に工場をもっていらっしゃいます。今回は、トロントから車で1時間半、大規模なメープルシロップフェスティバルでも有名なエルマイラにある工場にお邪魔しました。玄関を入ると、左右にトヨタレクサスのシートとドアトリムが展示されており、ふわっと上質な革地の香りに包まれました。



(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(足立氏)トヨタ紡織は、「紡織」という社名からも分かるように、始まりはファブリックの生産業です。1918年に豊田佐吉により創業された豊田紡織がルーツで、2004年にアラコ、タカニチ、豊田紡織の3社が合併し、「トヨタ紡織株式会社」という現在の社名に変更しました。現在は主に自動車の内装関連部品の製造を行っておりますが、今も繊維製品の生産をメインに行っている工場もあります。トヨタ紡織カナダでは100%自動車の内装関連部品の製造を行っています。

エルマイラ工場のメインの製造品は、トヨタレクサスRXのシートとドアトリム、そしてシートフレームというシート内の骨格部分です。シートフレームは、その後社内のシート製造でも使用しますが、カローラのシートを作っているJCI(Johnson Controls Inc.)さんにもシートフレーム単品で納品しています。
ウッドストック工場では、トヨタRAV4の内装品を製造しトヨタさんに納めています。シート、ドアトリム、シートフレームに加えて、天井部分のヘッドライニング、カーペットとより多種類の製品を製造しています。

(松田)シートには革素材とファブリックとありますし、扱う素材が幅広いですね。カナダ以外の拠点はどちらにありますか。

(足立氏)トヨタ紡織グループとしては、日本、中国、アジア・オセアニア、ヨーロッパ・アフリカ、そしてアメリカ大陸と世界各地域に統括拠点を持っておりますが、そのうち北南米はアメリカのケンタッキーにあるトヨタ紡織アメリカを統括拠点とし、カナダ、アメリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの5カ国に18拠点を持っています。

(松田)カナダの設立はいつですか。

(足立氏)エルマイラ工場は2003年、ウッドストック工場は2008年にスタートしました。ウッドストック工場はトヨタ紡織の工場としてスタートしましたが、エルマイラ工場はJCIさんの資本が半分入ったTMI(Trim Masters Inc.)という会社の工場としてスタートし、2008年にトヨタ紡織となりました。エルマイラ工場の社員数は340名、ウッドストック工場は380名の合計720名です。そのうち日本からの駐在員は6名おります。

(松田)御社が特に力を入れていらっしゃることは何でしょうか。

(足立氏)エルマイラ工場は、トヨタ紡織の全海外拠点の中で唯一レクサス製品を生産している工場です。日本以外ではここカナダでレクサス製品の製造を始めたということで、内装品としてのレクサスブランドの確立や品質の作りこみを皆で切磋琢磨しながら行ってきました。工場内のあらゆる場所に「レクサス」の言葉やスローガンを掲げたり、工場内を明るく綺麗に整えたりと他製品と差別化をすることで、従業員への意識付けを行っています。

(松田)新しいことを始めるというのはご苦労もあったと思います。

(足立氏)一番大切なことは人づくりですね。シートは機械では作れず、人の手作業でしか作れないタフで繊細な仕事です。人の手で表皮をしっかりと伸ばしながらラインを揃えていくため、力とテクニックが必要で、ハードな仕事のため、なかなか従業員が定着せず辞めてしまうこともありました。こちらの方はフェアであることを求めますので、平等になるよう業務をローテーション化したり、教育をしっかり行ったりと改善を行いました。従業員の意識改革を行うことは簡単なことではありませんが、製品の品質を各工程で作り込むためにはハードな手仕事は避けることはできませんので、このような社員教育、人材育成のノウハウを培うことは弊社の強みとなったと思います。

(松田)今後はどのようなことに力を入れていきたいですか。

(足立氏)従業員一人ひとりに、ものづくりならではのやりがいやモチベーションを見出してもらって、プライドを持って働けるような職場環境を作っていきたいです。今はものづくりに一生懸命ですが、会社が収益を上げ、社会に貢献をし、トヨタ紡織の企業ブランドを上げることで、数年後には従業員だけではなく地域の方々にもトヨタ紡織の価値を分かってもらいたいですね。

また、以前レクサスブランドを見直そうと従業員にスローガンを募集しましたが、そのとき投票で選ばれたのは「One Team, One Dream」というものでした。チーム一つになって同じ目標に向かって進んでいくということは、どこの企業でも難しいことだと思いますが、社員によって選ばれたこのスローガン通り、一丸となって前進していきたいと思っています。

(松田)スローガン募集の他にも社内で面白いイベント等は行っていらっしゃいますか。

(足立氏)2つの工場のコミュニケーションを図るために、夏は合同ゴルフトーナメントを行い、冬はそれぞれの工場でチームをつくり、ホッケーの対戦をしています。仕事では、従業員の声や提案を聞くために、社内に「Got a Beef」という牛の絵のかかれたボードを設けています。貼付けてもらった意見はリストにし、会議の議題として取り上げています。「Got a Beef」は問題がある、不満があるという意味のスラングですが、定着させるために少しでも面白く行おうとこのスタイルを始めました。

(松田)興味深い活動をたくさんされていますね。それではこの辺りで、足立さんのご経歴についてお伺いしたいと思います。

(足立氏)愛知県豊橋市で生まれ育ち、そのまま豊橋市にあるアラコという会社に入社しました。それから現在まで基本的にずっと生産畑にいます。最初の2年間は、生産性の向上やライントラブルの解消等、現場の改善を行う技術員室という部署におり、その後は2010年までずっと、品質の管理や改善を行う品質技術という部署で品質向上に携わってきました。その間、1997年から2004年までの6年半、アメリカのケンタッキー州に赴任していたので、海外駐在は今回で二度目となります。カナダには2010年の8月に来たので現在ちょうど丸2年です。当初は製造管理部のGMとして来ましたが、今年から拠点長となりました。

(松田)同じ分野でのお仕事を違う国で経験されて、感じられたことはありますか。

(足立氏)最初のアメリカ勤務はとても刺激になりました。初めてアメリカ人と仕事をするには苦労もありましたが、考え方や仕事のやり方は違っても目指すところや方向性は同じなので、きちんと意見を聞き、尊重するように努めました。アメリカ人は自己主張が強く、弁も立ちますが、事実と異なっていたり、調べてみると原因が違うところにあったりということを初めの頃何度も経験しました。

そこで、原理原則の大切さと、結果をデータや現地現物で示すことの2点を推し進めました。私には言葉では信じないことが直に分かったのでしょうね。それが定着するとみんなどちらかというと無口になり、目に見える形で結果を提示してくれるように変っていきました。そして彼らの良いところは新しいアイデア、もしくは不満であってもどんどん口に出してコミュニケーションをとってくれるところです。これは日本人に足りないところだと思いましたので、こちらも意見交換をもっとするように努め、そのようにお互いの良さを認め合うことでお互い向上できるということを実体験しました。

(松田)素晴らしい経験ですね。そのような経験を通して、足立さんがお仕事をする上で大切にされていることは何ですか。

(足立氏)アメリカでも推進したことの一つですが、ものごとの基本や本質が大切だということですね。困ったり迷ったら原理原則に立ち返ること、そして真因を追求すること。はっきりとした真因がわかれば必ずしっかりとした対策をとることができます。そのスタンスはどこの国にいても変わりませんね。

(松田)それでは、プライベートについてお伺い致しますが、好きなスポーツはありますか。

(足立氏)ありきたりですがゴルフをします。始めたのは20年前くらいですが、なかなか伸びないですね(笑)。半年しかできないので残念ですが、カナダのゴルフ場は芝がきちんと寝かされていて、アメリカと比べても非常に綺麗に整備されていますので、気持ちよくプレイができますね。

(松田)他にご趣味はありますか。

(足立氏)趣味は旅行です。アメリカにいるときは家族も一緒で、夏は北の涼しいところへ、冬はフロリダやカリブ海など暖かいところへと贅沢に旅行をしていました。当時はカナダに赴任になることなど知らなかったので、夏にバンフへ行き、レイクルイーズ等を訪れたのが一番思い出深い旅でした。カナダへは始めは単身だったので旅行は行かなかったのですが、4月から家族も来ましたのでこれから紅葉を見に行くなど、まだ行ったことのない東の方へ旅行がしたいですね。
他には、トロントでホッケー、アメフト、野球などのスポーツ観戦も楽しんでいます。日本ではあまり行かなかったのですが、こちらは色々なプロスポーツを観戦する機会があって良いですね。

(松田)特にひいきにされているチームはありますか。

(足立氏)弱いブルージェイズでしょうか(笑)。今まで3回見に行って3回とも負け試合だったんです。観客からそんなに野次も飛ばず、リラックスして観られるあの雰囲気も好きなんですが、次こそは勝ち試合を見たいですね。

(松田)それでは最後に、商工会会員へのメッセージをお願いします。

(足立氏)4月から2人の子どもが補習校にお世話になっております。非常に素晴らしい教育システムで感謝しておりますと共に、今後もどんどん発展していって頂きたいです。商工会のイベント等には、遠方ということもあり今まであまり参加はできていなかったのですが、会員の皆様とはせっかく同じ地域で事業をしている企業同士、もっと交流を図れると良いと思いますので、この記事を読まれましてご連絡いただけたらと思います。

(松田)インタビューは以上です。どうも有り難うございました。




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