「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー


<第54回>
Sumitomo Mitsui Banking Corporation of Canada / カナダ三井住友銀行
小野 祐介 President & C.E.O.




カナダ三井住友銀行さんには、2010年9月号でも取材をさせて頂いたのですが、今回代表者交代とのお知らせを受けて改めてお邪魔して参りました。4月から新代表者となられた小野社長には、商工会の副会長も務めて頂いております。小野社長のお人柄のおかげで、お仕事内容はわかりやすく丁寧に、ご自身のことについては冗談を交えながらお答えいただき、楽しいインタビューとなりました。


(松田)まず初めに、事業内容のご紹介をお願いいたします。

(小野氏)カナダ三井住友銀行は、三井住友銀行100%出資の子会社で現地法人です。1982年の設立ですので、もう30年ほどカナダで事業を行っているということになります。基本的には、ご預金、お貸出、為替決済といった、古典的な商業銀行業務を手がけております。ただ、銀行業務というのも高度な専門性を求められる時代になってきております。プロジェクトファイナンスと言った事業そのもののリスクを取る貸出やデリバティブの様な金融派生商品のサービス提供は、ニューヨークオフィスの専門チームと協働して、お客様に提供しております。

(松田)社員数はどれくらいですか。

(小野氏)社員数は45名、日本からの駐在員は現在5名です。

(松田)2年前取材させて頂いたときは3名でしたので、増えていらっしゃいますね。

(小野氏)駐在員数が増えているというのは、日本企業の中では珍しい方かもしれません。一般的に注目を浴びているのは新興国市場ですが、資源需要に支えられたカナダの市場も同様に成長性が高いと思われるので、弊行でも戦略的に陣容を拡大しています。

(松田)それはカナダで暮らす者として嬉しいことですね。2年前の取材時には、お客様は日系企業と非日系企業とでは半々くらいだとお伺いしておりますが、その割合に変化はありますか。

(小野氏)日本は我々のマザーマーケットですので、日本から進出されたお客様あるいは進出を計画されているお客様は大切にして参ります。一方で、ここ数年はカナダに進出している日系企業の数は横ばい傾向が続いており、新規のお客様を獲得するというのは簡単なことではありません。従いまして、現在はお取引いただいている非日系企業数の伸びが日系企業を上回っており、2年前と比べると非日系企業の割合が高まっているのが実情です。

(松田)非日系のお客様はどのような業種が多いのでしょうか?

(小野氏)エネルギーや資源関係のお客様の割合が多いです。オイルサンドを含めると、カナダの原油埋蔵量は世界第2位とも3位とも言われていますし、他の資源の埋蔵量も豊富です。世界的に新興国の資源需要は長期的に根強く、同業に携わっている企業の方々は積極的にビジネスを拡大されていますので、それらの企業と取引をさせて頂いております。

(松田)そう言ったカナダの企業が日本の銀行を選ぶ理由はどこにあるのでしょうか。

(小野氏)不思議に思われますよね。第一には、成長性の高いアジア市場と深い関係にあることが、日本の銀行に対する期待が大きくなっていることの背景ではないでしょうか。また、カナダの大手企業は、カナダの銀行のみならず、世界各国の金融機関から資金を集めています。その意味で、欧州の銀行は従来から比較的大きな役割を担ってきたのですが、最近は欧州各国の財政問題が取沙汰されており、ちょっと元気がありません。これも、財務面で比較的余力が有ると言われている日本の銀行との取引を増やしたいという気持ちに繋がっているのではないかと思っています。

(松田)そういった世界情勢が関係しているのですね。面白いですね。

(小野氏)企業にとっては、資金調達ソースを多様化するのは財務戦略の一つですから、その点からも、弊行もお役に立ちたいですね。

(松田)カナダのオフィスはトロントのみですか?

(小野氏)残念ながらトロントのみです。他の日本の銀行と比べても拠点網という点では最もコンパクトな体制です。ただ駐在員を含め社員数も増やしておりますし、カナダ全土を漏れなくカバーするため、フットワークを良くして対応しております。

(松田)今後力を入れていきたいことはありますか。

(小野氏)抽象的になりますが、我々の強みである経済成長の著しいアジア市場とつながりが深い点を活かし、カナダとそういった地域の橋渡し役を務める事によって、お客様やカナダや日本を含めたアジア各国の社会に貢献していきたいと思っております。

(松田)この辺りで、小野さんご自身のご経歴についてお伺いしたいと思います。ご出身はどちらですか?

(小野氏)出身は北海道の札幌です。札幌の気候はトロントと似ており、北国の生活というのは元々慣れ親しんでおります。父が転勤族でしたので、それに連れられて、何度か転校もさせられました。北海道の北東部にある北見という(場合によってはトロントよりも寒い?)地方都市の小学校に入学しましたが、卒業は東京の小学校でした。札幌から東京に行った際には、ジャガイモの匂いがすると言っていじめられたこともありました。

(松田)小学生というのは遠慮がないのでひどいことも言いますよね。入社されてからはいかがでしょうか。

(小野氏)1988年に入社し、これまで色々な部署を経験しました。個人のお客様が多い世田谷区の高級住宅街にある支店での勤務を皮切りに、今話題の東京スカイツリーからも遠くない錦糸町でも勤務いたしました。そこでは、下町人情あふれるお客様に接する事が出来たのが、思い出深いです。その後は、初めての海外勤務として香港に6年間赴任し、アジアの「目覚しい発展」と通貨危機に端を発した「脆さ」の両方を目の当たりにしました。その後に戻った東京では大企業をお客様とする部署に配属となり、6年間過ごした後、カナダに赴任となりました。カナダに来たのは2006年です。

(松田)では、今年でもう7年目ですね。長くいらっしゃって、何か感じることはありますか。

(小野氏)そうですね。予想外に長くなりました(笑)。カナダは非常に大らかですね。スペースも広く、人々も穏やかで、社会システムも緩くできている気がします。例えば、「とりりあむ」の「リレー随筆」でも書いたのですが、カナダのオンタリオ州が経営するGOトレインの駅には改札が全くありませんよね。比較的自由に駅のホームに入れますし、電車を降りる時にも駅員の方に支払いをチェックされる訳ではありません。抜き打ち検査として、時折、料金の支払いを確認する車掌さんが車内を巡回する様ですが、それ以外は、自己申告が原則です。

日本では、特に東京ですと、とても複雑な料金システムを、非接触型カードなど高度な技術を使ってきっちりと、しかも瞬時に精算しますよね。そういったハイテクを全く使わずに、ローテクですけれども少ない労力で、なんとか上手くやっています。この差は何なのでしょう。日本の完璧なシステムや技術力は世界に誇れるものだと思いますが、ローテクながらも上手く回しているカナダのやり方も、ひょっとしたら日本に見習うべき点があるのかもしれないと感じています。

(松田)確かにおっしゃる通りです。とてもユニークな視点をお持ちですね。では、プライベートなことをお伺いしますが、好きなスポーツはありますか。

(小野氏)札幌出身ということもありまして、回転や大回転という競技スキーを学生の時からやっておりました。あと、下手ですが、テニスやゴルフもやります。こう並べるととてもミーハーですね(笑)。残念ながら、音楽や絵画等の芸術系は全くダメです。体を動かす方が好きですね。

(松田)カナダでもスキーは行かれましたか。

(小野氏)カナダには良いスキー場がたくさんありますね。バンクーバー近隣のウィスラーや北米東部の代表的なスキー場であるモントレンブランには複数回行きました。個人的なお勧めは、ケベックシティよりもう少し東に行ったところにあるLe Massifというスキー場です。セントローレンス川に向かう斜面にスキー場が設計されており、川に落ちてゆく感じでスキーをするという貴重な体験ができます。景色も素晴らしいですね。

(松田)それは素敵ですね。テニスはいつから始められたのですか。

(小野氏)テニスは香港にいた時に始めました。学生時代からやっていた方々には到底敵いませんが、トロントでもテニス好きの方々が集まるサークルのようなものがあり、そこで週に1度プレイしています。また、子供もテニスをやりますので、週末に子供と打ち合ったりしています。

(松田)今はテニスに絶好の季節ですし、お子様と一緒にプレイできるというのは良いですね。では最後に、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(小野氏)トロント日本商工会というのは、特定団体の利益代弁者のような位置付けで、所謂アメリカのロビー活動の様な事を行っているのかなと思っておりました。しかし、理事として同会に関与して分かった事があります。私が言うのは大変僭越なのですが、それは、関係者の方々が高い目線でもって商工会の活動を考えてらっしゃることです。一つの特定団体の利益などではなく、教育、生活、地場コミュニティとのつながり、更には州や国単位での関係構築について考えていらっしゃって、見習わなければいけない事だと思いました。今後は、私もそういった高い志を持って、皆様と携わっていきたいと思っております。

(松田)とても頼もしいです!今後とも理事として商工会の繁栄にご協力ください。本日は有り難うございました。


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