リレー随筆

2度目のカナダ

遠山

NGK INSULATORS OF CANADA. LTD. / Executive Vice President


昨年5月にトロントへ赴任してからちょうど一年が過ぎた。

 

カナダでの駐在は初めてではなく、父の仕事の関係で年少の頃バンクーバーで6年間過ごした経験がある。この一年間家族とトロントで生活し、特に学校に通っている長男を見て、自分がバンクーバーで生活をした30年前はどのようであったのか思い返してみた。

 

今長男は10才になる。私の場合は10才の頃駐在を終えて帰国したので、長男と多少の年次の違いはあれど、月曜日から金曜日は現地校へ通い、土曜日は補習校へ行く通学スタイルは全く同じであった。但し、今と昔を比べると今は子供にとってのハードルも上がっていることを痛感した。長男が現地校へ入学して間もなく Somalia drought and climate changeの題目の記事を読み、設問に答える宿題をもらった時であった。世界中の気候の変化によりアフリカのソマリア国ではdrought (干ばつ)が続き、更に内戦が追い討ちをかけ、国情が改善しない問題を取り上げた記事で、当然、英語も何もできないGrade 5向けには超難問どころか、ソマリアはどこか?干ばつ?内戦?は何かを話した。結局、記事の中から回答を写すように教えたが、転記して自分の言葉で説明しなかった答えは良しとされず、厳しいの一言に尽きた。

 

30年前はこんなに難しかったのか首を傾げた。この次に出た宿題がCanadian citizen の義務と権利を問う50問の4択問題で、カナダ人の家庭教師ですらインターネットで調べないと正解に辿り着けないまたもや難問だった。その後、学校へも指摘して宿題のレベルはESL向けに配慮がされたが、いずれにせよ、普通のGrade 5へこのレベルが求められるのであれば、子供の学校教育の変化も認識せざるを得なかった。インターネットの普及で生活は便利になった一方で、様々な情報へアクセスできる分、求められる知識と技量も高度になり、小さな頃からインターネットを駆使して調査して、自分の考え表現することが求められることにショックを覚えた。

 

30年前の自分の小学生時代は、放課後は校庭でホッケーをしたり、ホッケーカードを壁に立ててホッケーカードを投げて取り合う遊びをしていたり、ハローウィーンの時はダースベーダーの衣装を作ったり、風邪を引いて熱を出して補習校を休んだ時は土曜日のテレビのアニメ時間が本当に楽しみであったことが脳裏に焼きついていて、ともかく気楽にカナダの生活を堪能していた気がする。

 

今度は自分が父親になって家族とカナダへ来るとは思いもよらず、自分の頃は大した勉強もしなかった割には子供に勉強を求める一方で、土曜日も補習校へ通う子供はそれなり忙しく結構大変なのだろうと感じる時がある。

 

今は週末の余裕があるときは、日本では場所がなくあまりできなかったキャッチボールとサッカーをして子供といっしょに遊び、お互いカナダの広い土地で気分転換するようになった。そして、私も駐在2年目に入ったのでもう少し余裕を持って家族とともにカナダの生活をエンジョイできるように挑戦したいと思う今日この頃である。



この号の目次へ戻る   「リレー随筆」記事一覧ページへ