「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第52回>

CABKA NORTH AMERICA, Inc./ カプカ ノースアメリカ インク

松村 正俊 Executive Vice President, Business Development, Cabka Holding

ミシサガにあるカプカノースアメリカさんの工場を訪れました。ご自宅はシカゴにあり、ご出張の多い多忙な松村さんですが、カナダでの貴重なお時間をインタビューに割いて下さいました。まず初めに工場の中をご案内頂き、リサイクル原材やプラスチックパレットの製造方法についてご説明下さいました。まるで社会科見学のように楽しんでしまいましたが、松村さんと従業員の方々との良い関係を垣間見ることができました。

   
カナダ工場長のラビさんと一緒に

 

(松田)御社の事業内容のご紹介をお願いいたします。

(松村氏)カプカは、主に自社でリサイクルをしたプラスチックを使い、プラスチックパレットを製造しております。お客様は輸送が関わるあらゆる業種ということで、自動車メーカー、食品業界、倉庫業、運送業、電機メーカー、機械メーカーと多岐に渡っております。

(松田)御社の設立はいつですか?

(松村氏)カプカの親会社は1980年代にドイツにて設立されました。カプカノースアメリカとして北米に進出してきたのは2003年です。最初はマーケティングのみで、パレットは全てドイツから輸入しておりましたが、2006年から現地生産を始めました。

(松田)製造工場はどちらにありますか?

(松村氏)北米にはカナダのミシサガとアメリカのセントルイス、ヨーロッパにはドイツとスペインにあります。ドイツの工場は、プラスチックのリサイクルから技術開発、金型製造、パレットの製造まで全て行う大規模なものです。パレット以外でも、工事現場で柵を作るための土台や、製鉄会社で使用されるロールストッパー等の製造を行っております。

(松田)プラスチックパレットは全部で何種類くらいありますか?

(松村氏)約50種類です。パレットの製品ごとの違いは材料とサイズです。パレットは木、アルミ、鉄、プラスチックなどから作られますが、プラスチックの中でも高級なものから低級なもの、バージンのものからリサイクルのものまであります。お客様には材質とサイズからご用途に合ったものをお選び頂きます。

(松田)材質によってどのような違いが生まれるのでしょうか?

(松村氏)カプカが自社でリサイクルした素材と、外部から購入したプラスチックの比較を簡単にさせて頂きます。カプカがリサイクルした材質は、繊維質が入っておりますので、非常に堅く丈夫で、しかも安価です。しかし、堅いがゆえに耐衝撃性がやや弱く、使用回数に限りがあるため、お客様のところへ運ばれたら戻っては来ない「ワンウェイ」パレットとして使用されています。一方、外部から購入した材料で作ったパレットは、衝撃に強く耐久性があり、サプライヤーとお客様の間を何度も往復できる「リユーザブル」パレットとして使用されますが、高級なプラスチックを使用しますので値段が高くなります。

 

 

万能型CPP330パレット

北米ではワンウェイパレットの代名詞になっています。
 

自動車産業向けパレット

軽量・低価格・耐久性を兼備しています。

 

(松田)どちらの方がより需要が多いですか?

(松村氏)カプカ自体ではワンウェイパレットが8割を占めています。我々の競合会社が高級な材料を使い、価格が木のパレットの4倍以上するプラスチックパレットを作る中、カプカは自社でリサイクルをした材料で、木とほぼ同じ値段のものを作っています。木のパレットには、重く、釘を使っており、木屑が散る、という欠点があり、また、森林伐採という環境破壊の懸念があり、更に、輸出入の際には木の中にいる昆虫やカビなどを駆除するために熱処理を施さなければいけません。プラスチックにはそういった規制がないので、熱処理や検査の費用を考慮したうえで、カプカのプラスチックパレットを購入して下さるお客様が増えています。現在、カプカの北米でのプラスチックワンウェイパレットのシェアは7割から8割と言われています。

(松田)社員数はどのくらいですか?

(松村氏)カナダの工場には12名おり、12名で全ての生産を管理しています。セントルイスの工場には、製造部門が約30名、オフィスに約10名です。我々カプカは、世界中合わせても300名弱の会社ですが、国籍が様々です。オーナー社長はイスラエル人、マーケティング担当のオーナー夫人はドイツ人、本社部門のファイナンス担当はトルコ人です。私はCOOやジェネラルマネージャーを務めましたが、日本人です。その他各国の工場にはそれぞれの国籍の従業員がおりますが、特にカナダやアメリカは移民の多い国ですので、更に様々な文化と民族のバックグラウンドが交錯しています。それだけの国籍の人が集まって事業を運営しているということで、色々なアイディアが生まれておもしろいですね。

(松田)様々な国籍の方々と働くということで、何か変わったエピソード等はありますか?

(松村氏)カプカの共通語は英語ですが、我が社の中には英語が母国語じゃない者もたくさんいますので、皆まわりくどい表現を避け、ストレートに「イエス」か「ノー」の発言を求め合います。これは却ってデシジョンメーキングに役立っているのではと思います。会議も短いですし(笑)。

(松田)それは面白い効果ですね(笑)。御社はリサイクルを行い、環境の保全に努めていらっしゃいますが、何か他に取り組まれていらっしゃることはありますか?

(松村氏)我が社は、元々プラスチックのリサイクルから始まりましたので、リサイクルということは常に心がけておりますし、それが私たちのプライドでもあります。お客様から使用済みのパレットを回収させて頂くことはもちろん、プラスチック製品を製造されているお客様から、例えばペットボトルのフタや、スクラップや不良品を収集し、それらをパレットに再生しています。特に環境保全に力を入れておられる企業では、このプログラムにご賛同頂き、ご協力頂いております。

(松田)今後何か取り組んでいきたいことはありますか?

(松村氏)次の製造拠点は南米か日本と考えています。私たちの最終的な目標は、リサイクルを繰り返すことで半永久的にプラスチックパレットを使用し続けられる国際的なネットワークを作ることです。例えば、日本でプラスチックをリサイクルしてパレットを作り、日本の企業にヨーロッパまたは北米に製品を輸送する際に使用して頂きます。そして使用済みのパレットを輸送先で我々が引き取り、それを再生してまた新しいプラスチックパレットを作り、それをまた国際輸送に使って頂くというサイクルです。リサイクル技術と製造力はありますので、今はタイアップしてくれるお客様を探しております。

(松田)この辺りで、松村さんご自身のご経歴についてお伺いしたいと思います。ご出身はどちらですか?

(松村氏)出身は広島です。1959年生まれで、東京の大学に行くまでは広島で生まれ育ちました。大学卒業後は新日本製鉄に入社しました。1996年からニューヨークとシカゴに駐在し、2005年に家族共々アメリカに永住する決心をして、長年お世話になった同社を退職しました。カプカノースアメリカに入社したのは2006年です。その年は、丁度オーナーが私の住んでいるシカゴで事業の立ち上げをしている最中でした。2010年にシカゴの事務所は閉めましたが、現在も家族はシカゴに住んでいます。私も大体週末はシカゴに帰りますが、平日はセントルイスの事務所、カナダ、日本、メキシコ、ドイツ等、世界中のどこかに出張しております。

(松田)松村さんは、カナダとアメリカと両方みていらっしゃるんですね。

(松村氏)北米全部ですね。2006年から2011年の4月までは執行役員はオーナーと私しかおりませんでしたので、製造、販売、購買、人事とほとんど全てやっておりました。小さい会社ということもありますが、個人で議論する、個人で交渉するという機会が非常に増え、グループで仕事をする日本のやり方とは大きく異なるので最初は随分とまどいました。

(松田)松村さんがお仕事を進める上で、何か大切にしていることはありますか?

(松村氏)私は常に、自分の仕事にプロフェッショナルとしてのプライドをもち、また自分の仕事が社会に貢献しているかということを念頭に置いています。カプカの事業はリサイクルの製品を作っているということで、社会的にも高い評価を頂くことができ、とても有り難いです。しかしながら一方では、リサイクルはエネルギーを大量に消費するので、かえってリサイクルをせず、ゴミにして捨てた方が良いという学者の意見もあります。結論の出ない難しい議論です。私の持論は、リサイクルの推進によって、新しい資源の使用を減らし、地球をこれ以上痛めない。です。それと同時に、リサイクルに携わっているからこそ、さらにムダを省き、もっと省エネを考え、自然環境を守らなくてはいけないと常に考えています。

(松田)それでは、松村さんのプライベートなことをお伺い致します。好きなスポーツやご趣味はありますか?

(松村氏)小学生の頃からサッカーをしておりまして、社会人になってからも会社のチームに入り、30歳頃まで現役でやっておりました。私はもう引退しましたが、北米の良いところは、40歳以上リーグや50歳以上リーグ等がありますので、探せばいくらでも現役として参加することができるということですね。また、子供が3人おりますので、子供たちが地域にすぐ溶け込めるようにと地域の少年サッカーチームのコーチをボランティアでしておりました。最初は子供たちのためと思って始めましたが、段々楽しくなり、コーチィング自体を楽しんでいました。私のドリームジョブはプロスポーツチームのコーチです。しかし今は下の子もリトルリーグのチームを卒業してしまい、コーチができなくなってしまいました。コーチ募集中のチームを募集中です。()

(松田)カナダの印象はいかがですか?

(松村氏)私はトロントしか知りませんが、地元のパートナー会社のオーナーや従業員、またミシサガの工場で働く従業員達はとても優秀です。人柄も良く、仕事に対する姿勢が熱心で真面目です。自然環境も良いですし、非常に良いところですね。カナダには良い印象しかありません。

(松田)それは嬉しいですね。では最後に、商工会会員へメッセージをお願い致します。

(松村氏)商工会の会員の皆様は、日本を代表する企業の方々ばかりで、お話をしていて触発されることがとても多く、商工会に入会することができてとても光栄に思っております。話は飛んでしまいますが、去年の大震災の際には、世界中から日本の民度の高さが絶賛されました。私も17年のアメリカ暮らしで忘れがちであった日本人のアイデンティティというものを再確認しました。自衛隊を始めとした皆様の献身的な努力、日本人の素晴らしいところを沢山見ることができました。在米生活が長くなり、日に日に日本の方と交流する機会が減っておりましたが、これからはもっと多くの会員の皆様と交流し、日本の良いところを取り入れ、学んでいきたいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。

(松田)インタビューは以上です。どうも有り難うございました。

 

 


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