2012年 新春企画インタビュー

 <第43回 新春企画 インタビュー>

在トロント日本国総領事館  山本栄二総領事(商工会名誉会長)

聞き手: みずほコーポレート銀行カナダ支店  武上 和人 支店長(商工会会長)

武上会長)本日はお忙しい中お時間を頂きまして誠にありがとうございます。山本総領事は9月末にご着任されたばかりにもかかわらず、大変精力的に公務を果たされていらっしゃいます。まずは、日々どのような仕事をされていますか教えて下さい。

山本総領事)総領事館の一般的な役割や使命は、大きく分けて3つです。まずは在留邦人や旅行者の保護。日頃から注意を払って何かあったときには対応します。2つ目は在留邦人や企業が活動しやすいような支援をすること。3つ目はオンタリオ州やトロントとの日本の関係をいろいろな分野で強化することです。

まだ着任して3ヶ月の段階ですが、仕事の基礎は関係者とお会いして知り合っていく、人脈の構築が中心です。州大臣や市長にお会いしたり、様々なセレモニーに出席して、発信をしています。

震災に関してはカナダの方、日系の方、邦人の方から支援していただいて感謝しております。日本も大変な震災からようやく立ち直り、元気になりつつあります。人道的な活動もありがたいですが、私は「日本のものを買って下さい、日本に来てください」と着任してから様々な方に訴えています。そういうレターをオンタリオ州の連邦議員、州議会議員を初めとする要人宛に送っています。お返事もたくさん来ましたよ。そういうことを一歩一歩やっております。

武上会長)まさにオンタリオ州における日本の顔としてお仕事をされているのですね。 カナダの経済は、G7の中では優等生と言われていますが、欧州の債務問題やカナダドル高の継続もあり、これからも予断は許されない状況が続くと思います。 このような厳しい環境にあって、総領事自らが日本ブランドの向上に尽力されていらっしゃる。日系企業として大変心強く思います。

ここで、少し総領事のご経歴について伺いたいのですが、まずは外交官を志望された動機を教えてください。

山本総領事)動機と言うほどのものではないかもしれませんが、私の祖父や父が海外関係の仕事をしていました。わたしの父親は仕事の関係でドイツに行っていたこともありましたね。祖父は5ヶ国語に堪能で、私が小さいときは貿易会社を経営しておりました。そういうことから、小学生のときから外国との関係の仕事に就きたいと思っておりました。

武上会長)外務省に入省されてからどちらに赴任されましたか。

山本総領事)最初はボストンで研修がありました。それ以降、NYの国連代表にも在籍しておりましたのでアメリカには通算7年半おりました。 韓国にも2度赴任しました。あわせて5年です。そしてカンボジア。国の数は多くないですが。それぞれの場所でいい経験をさせてもらいました。

武上会長)カナダは4カ国目ですね。着任前と着任後のカナダの印象を教えてください。

山本総領事)こちらに来る前はカナダにご縁はあまりなかったのですが、NYに居たときは2度ほどオタワやナイアガラに来たことはありました。ハリファックスでG8があったときも行きました。カナダでの本格的な仕事は初めてです。

着任してカナダの多民族性を実感しました。オンタリオの中国系の方の人口は60万人ほど、韓国の方も10万人強と聞いています。他にもイタリア系やインド系の方も多いです。マーカム市に至っては半分以上が有色人種だそうですね。トロントにいながら主だった国や文化に接することができます。カナダは移民もしっかり受け入れており、人種間のテンションも感じられませんね。「静かなダイナミズム」と呼べるものが感じられます。カナダ自体には潜在力があり、多民族共生からエネルギーが生まれていると思います。カナダの方はアメリカの人とは違いますね。メンタリティは、より日本人に近いと思います。

武上会長)カナダ人は他者をリスペクトしなければいけないという教育を小さいころから受けてきているようですね。私の職場でも「Respect each other」という言葉をよく聞きます。

山本総領事)カナダは日本人にとって居心地が良いと思います。それが日本ではあまり知られていないのでアピールしたいですね。特に留学生に向けてアピールしたいです。

武上会長)アメリカの大学はアイビーリーグをはじめ、日本でも有名な大学が数多くありますが、カナダの大学も、トロント大を初め、ケベックのマギル大やBC州のUBCなどワールドランキングの上位に顔を出す大学も多く、例えばノーベル賞の受賞者の数でも引けをとらないらしいですね。

山本総領事)先日トロント大学の学長にお会いしたのですが、学生は7万人いるうち、日本人は90数名なんだそうです。

武上会長)7万人のうち100人に満たないのですか・・・。

山本総領事)他のアジア系に比べると少ないので残念と仰っていました。留学生誘致が日本人にカナダに目を向けてもらう一つの切り口かもしれません。

武上会長) ここで少しご家族やご趣味など、プライベートなこともお聞かせいただけますか。

山本総領事)家族は家内と一緒に来ております。娘が一人おりまして、獣医をめざして日本で勉強中です。家内は着物が好きなものですから、日本文化のPRとしてこれから様々な場で協力してもらいたいと思っております。私の趣味は鉄道と釣りです。若いとき、大学ぐらいまでは結構な鉄道ファンでした。昔は蒸気機関車がまだ走っていましたので、北海道から九州まで行って、写真撮ったり、切符のコレクションをしたり、HOゲージもやりました。外務省に入ってからはあまりできなくなってしまいましたが。

武上会長)鉄道のどういうところに惹かれましたか。

山本総領事)小さいときから好きでしたので特に理由がないんですね。小さいころは鉄道の運転士になりたいと思っていたんです。私は大阪出身なんですが、阪急宝塚沿線に住んでおり、鉄道に乗るときは一番前の車両にのって運転士さんを見つめていました。大阪国鉄駅で鉄道を見るのも好きでしたね。ここトロントではGO TrainVIA鉄道がありますね。

インフラの話としては鉄道に親しんでいましたので、趣味と実益を兼ねて、日本の優れた鉄道や技術をカナダに紹介できる機会があればと思いますね。そして釣りですが、ここ56年はフライフィッシングに凝っています。毛針を自分で巻くんですよ。さっそく情報収集してキッチナー付近のグランドリバーに行くのを楽しみにしています。自然を楽しむことも好きです。アイスフィッシングも気になっています。韓国にいたときにマイナス20度の中、氷上のワカサギ釣りを経験しました。氷上で天ぷらをしたり楽しかったですね。

武上会長)ご趣味は奥様と一緒にされるのですか。

山本総領事)鉄道、釣り、いずれもあまり関心がないようです(笑)。ただ、釣りのほうは釣ってきてくれる分には非常にウェルカムですよ。娘もおいしく食べてくれます。釣りはそこまでやって完結ですからうれしいですね。ひらめやアジを釣ってきたときは喜ばれました。鉄道もバンクーバーまで行きたいのですが、家内には「飛行機で行かないの?」って言われそうですね(笑)。

武上会長)バンクーバーからのVIA鉄道は天井がガラス張りになってすばらしいそうですね。

山本総領事)ここから出発すると4日間かかるらしいんですよ。エドモントンまで飛行機でいって、そこから鉄道という手もありますね。

武上会長)それでは最後に、商工会会員への新年のメッセージをお願いします。

山本総領事)2011年は本当に色々私共日本人にとっては辛い、大変な年でありました。2012年は明るくて元気のいい日々を取り戻すことができればと思います。皆様のお役に立てるように仕事をしていきたいと思いますので、皆様のほうからお気づきの点、アドバイス等々頂ければと思います。

武上会長)本日は誠にありがとうございました。

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