「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

 <第29回>
Mitsui & Co. (Canada) Ltd./カナダ三井物産株式会社
小室 徹夫 社長

29回はカナダ三井物産株式会社さんにお邪魔してきました。小室社長には商工会の常任理事もお務め頂いています。オフィスの所在地はダウンタウン。20分の予定を1時間以上も時間を割いていただき、カナダでの商社のビジネスや今後の展望について分かりやすく説明してくださいました。他にも小室社長ご自身の経歴や夢中のスポーツなどを詳しく伺いました。

(神林)御社の事業内容のご説明をお願いします。

(小室氏)カナダ三井物産は資本が日本の三井物産100%の会社で、その本店がトロントにあります。支店がバンクーバーとカルガリー。以前はモントリオールにもあったんですが、2006年に閉じました。従業員は日本人駐在員が9人、現地職員が56人。私どもは総合商社ですので仕事は多岐に亘っています。それぞれの支店で中味が違うのですが、トロントのほうは鉄鋼の製品や自動車、化学品の仕事が中心。あとは、鉄鉱石とか新金属のリチウムなど、いわゆるマイニング(鉱業)のほうですね。西側にいくと、バンクーバーでは食料が主なんです。バンクーバーは日本への玄関で穀物の輸出基地です。カルガリーはエネルギーです。石油、石炭、ガス、掘削やそれに関連する周辺事業ですね。

(神林)バンクーバーの食料、穀物は具体的には何を扱っていますか。

(小室氏)もちろん小麦もありますが、取扱量が多いのは菜種です。我々は日本向けの菜種は高いシェアを持っているんですよ。カナダで育てて、買い付けて、船を手配して、日本へ輸出するんです。

(神林)菜種の畑はカナダ全土にあるのですか。

(小室氏)サスカチュワン州やマニトバ州に多いです。バンクーバーはいわゆる取引の拠点です。バンクーバーでの食料については伝統的にやっている仕事ですね。

(神林)御社で今後力を入れていきたい事業や注目されている事業があれば教えてください。

(小室氏)カナダで注目されるのはやはり資源とエネルギー。資源では三井物産がブラジルで資源メジャーのVALE(バーレ)という会社に出資してグローバルトレードをしています。VALEはカナダでも鉱山を買収して所有しているので、カナダの鉱山からVALEとの協力でどこかへ輸出するなど、日本向けに限らず色んな事業を新たに付加していきたいですね。エネルギーについては、カナダは石油、オイルサンド、シェールガスや天然ガス等いろいろありますが、日本向けに限らずグローバルトレード、そして開発に参加したいです。なかなか難しいのですが。

(神林)事前調査も必要ですし、時間もかかりますね。

(小室氏)そうですね。案件選びが大変です。長いスパンが必要な事業ですね。実は我々はオイルサンドについて日本連合企業の一員としてアルバータ州で生産を開始しており、拡張のプロジェクトに取り組んでいます。それに限らず、石油とガスには積極的に取り組みたいです。ガスについていうと、カナダは地産地消型でカナダやアメリカが消費市場なので日本とあまり直接関係ないのです。ビジネスチャンスがたくさんあっても、日本の商社である三井物産としてどれが一番適切な仕事なのか精査する必要が有ります。それに加え、カナダという市場に、日本で展開している事業が生かせるようなビジネスを増やして行きたいです。消費者に直結しているという面では、我々は自動車の販売をトヨタさんと一緒に行なっています。カナダで今後我々がどんな新しい事業に入っていけるか課題ですね。

(神林)すでにたくさんのアイディアをお持ちなんですね。

(小室氏)カナダは33百万人を擁する市場で、アメリカの1/10と言われていますが、アメリカでの事業展開とも違いますよね。国民性や思考も全然ちがいます。だからアプローチも違いますね。資源・エネルギーに代表されるように大きい取引が目を惹きますが本当はそれだけでなく色々なことをやっているんです。国によって需要の中味が違うので、当社の強みが発揮できて、カナダに貢献できるようなビジネスをしていきたいです。

(神林)御社はたくさんの社会貢献をされていると思いますが、幾つか紹介していただけますか。

(小室氏)カナダで6つの大学に教育支援をさせていただいています。三井物産はカナダに限らず、国を造っていく若い人達の支援に力を入れています。それが日本との架け橋になってほしいですね。他にも、インターン学生を積極的に受け入れています。卒業するとそのまま新卒で入ってくれるカナダ人もいます。カナダでは一般的には新卒よりも経験のある人、即戦力になる人が有利ですよね。ただ当社では仕事を通じて三井物産のスピリッツ、三井魂を育てたいので、新卒の人は大歓迎です。日本への研修制度もあります。

(神林)すばらしいですね。社員教育に力を入れているんですね。

(小室氏)「人の三井」といいますから。教育には予算や時間を割いていますよ。そういう意味では学校のようです。

(神林)このあたりで小室社長のご経歴を教えてください。

(小室氏)出身は東京。入社当時の配属は3年間名古屋でした。その後会社の留学生制度を利用してフランスのエクソンプロバンスというところに行きました。81年の春でしたね。エクスマルセイユ大学で語学3ヵ月、1年間政治経済学を学びました。大学時代に仏留学したいと思っており、三井物産に留学生制度があるのを知っていたので是非利用しようと派遣試験を受けました。

(神林)計画通りですね。

(小室氏)そこまではね!そこから違うんです。留学後はどこにいくか分かりません。「パリにいけるのかな?」と思っていたところ、モロッコになりました。82年にカサブランカへ。1年で本店帰任の予定が、3年半の就業に。

予定は大幅に狂ったのですが、そこではフランス語も磨かれました。僕がカナダへの辞令をもらったとき、社長から「フランス語が役に立つな」と言われました。ケベックでのビジネスをどうするか、それも私のミッションなんです。一方、家族には苦労をかけましたね。最初の娘はモロッコで生まれました。ですからすごく憧憬があります。当時の国王にも何回かお会いしました。三井物産はリン鉱石の日本向け一手輸出販売権を持っていました。リン鉱石はモロッコにとって大切なビジネスなんですね。とてもいい経験でした。

そして85年に帰国、東京で鉄道関連の仕事に携わりました。車両、システム、プロジェクト、ファイナンス等全てです。それがきっかけてNY地下鉄との縁ができて。そこからアメリカとの付き合いが増えました。90年にNYに赴任。10年間駐在しました。米国での鉄道関係の取引先はGEGM。米国から南米やアジアに機関車を導入するプロジェクトにも関わりました。

(神林)10年も。ではお帰りになったのは2000年ですね。

(小室氏)そうです。911の前年でした。そのあとは本店経営企画部です。2年間戦略・企画を担当、その後は建設機械の担当をしていました。

海外勤務ではないのですが、2002年にはボストンのビジネススクールに3ヵ月間留学しました。食事しながらケーススタディ、時間に追われながらディスカッションと、みんな熱心にやっていましたよ。そのときにたくさん友達ができましたね。いまでも交流が続いています。

(神林)そして今、ご駐在は10年ぶり、カナダで3カ国目なんですね。プライベートなお話も聞かせてください。

(小室氏)趣味はゴルフです。カナダで残念なのは、ゴルフの出来る期間が一年のうち半年弱しかないということです。私のゴルフ好きは社内でも良く言われており、会社で実業団選手権に参加していました。会社コンペでは過去最高15位ですが、10位以内が目標です。熱の入れようは仕事以上とは言えないので、仕事と同じぐらいですかね。趣味というよりアスリートとしてのゴルフですか。今、ハンディキャップは52まで行けたらと目標にしています。

(神林)商工会ゴルフ大会でも5なんていう方いません。プロですか。

(小室氏)いえいえ、自分の所属していたクラブでは01がたくさんいましたよ。特に所属クラブでのネットワーキングが好きです。アレンジされたゴルフより、同じ仲間とやるのが良いですね。カナダでもそういうクラブの会員になりたいですね。とても楽しみです。

(神林)これからも毎週末頑張ってください。その他に趣味はありますか。

(小室氏)音楽はオペラが好きですね。家内に「いつも寝ている」と言われますが(笑)。カラオケも好きですよ。得意な歌は・・・控えておきます。

(神林)着任されて2ヵ月近くですが、カナダに対してどんな印象をお持ちですか。

(小室氏)アメリカが長かったのでアメリカとの比較になりますが、東洋出身が多いと感じています。そして東と西で随分違うこと。カナダは構造がヨーロッパに近いと思います。州が夫々の国であるような印象を受けますね。例えば車の売れ筋も西と東で違います。ケベックでは小ぶりで動きがよい車、西は日本の嗜好に近い車、と対照的です。ですからビジネスのアプローチが1つではありません。商社でトロントに本店(社)があるのは当社だけです。どこからカナダを見るかということに関して会社によって考え方が違うんですね。いろんなアプローチがあるということだと思います。

(神林)カナダで一番やりたいことは何ですか。

(小室氏)カナダ人の友達を一人でも増やしたいです。ビジネスのことでも何でも相談できるような友人です。そういう人が1人でも多くカナダにいたらいいと思います。

(神林)商工会会員さんへ伝えたいことはありますか。

(小室氏)商工会のアクティビティがもっと外向きにカナダの社会、政財界に出て行けるといいですね。そういう機会を増やしていって欲しいですし、参加したいと思います。

(神林)インタビューは以上です。どうもありがとうございました。

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