「こんにちは!」新代表者紹介インタビュー

<第19回>
Kubota Metal Corporation /クボタメタルコーポレーション
山下 裕治 社長

19回は、トロント日本商工会会員さんの中では最北端に位置するクボタメタルコーポレーションさんにお邪魔してきました。オフィスの所在地はBarrieの北にあるOrillia。トロントからは車で約2時間です。取材当日、朝から大雪となってしまい急遽日程変更をお願いするというハプニングも。初めてのご駐在という山下社長、苦労されることもたくさん!製品のことからプライベートなことまで詳しくお話を伺いました。

神林:御社の事業内容のご紹介をお願いします。

山下氏:クボタメタルコーポレーションでは反応管(リフォーマーチューブ)というものを製造しています。反応管には2種類あり、クラッキングチューブとキャタリストチューブというものがあります。まずクラッキングチューブですが、こちらは石油化学プラントで使用されます。お客さんは北アメリカではエクソン、ノバ、ダウです。

神林:石油精製をされている会社さんですか。

山下氏:いえ、石油精製でなく、石油化学。プラスチックの原料になるエチレンをつくるプラントで使われます。ナフサという物質がエチレンそしてポリエチレンになるんです。これは最終的にはペットボトル、パソコン、車に使われるプラスチックになります。

このクラッキングチューブが加熱炉の中に入り1100度という高温で加熱されます。入り口からナフサという粗製ガソリンのようなものを流すと出口でエチレンが出てくるという仕組みです。チューブの温度を上げるほど製品の回収率が上がるのですが、その分チューブの寿命が短くなります。ですからなるべく熱は下げた方が良い。そういうわけで熱効率を上げるよう、チューブの内部に渦巻き状のフィンをつけました。これが新製品ですね。この渦巻きがついていると内部で攪拌し効率が高くなるのでチューブの温度を下げても製品の回収率が下がりません。

神林:この渦巻きにはそんな秘密があったんですね。

山下氏:ちなみに競合先はユーロ圏です。ドイツとフランスとイギリスにあるそれぞれの会社、そしてクボタの4社で反応管を製造しているのですが、ユーロ安の現在、厳しい競争になっています。

神林:原料や製法を教えてください。

山下氏:エンジニアリング会社によってクラッキングコイルの形状も変わります。材料としてはニッケル45%。クローブが35%ですね。残りは鉄です。作り方は普通のステンレスのパイプは鍛造や引き抜きで作られますが、こういった材料は整形性が非常に悪く引き抜きは難しいので鋳造になります。難しい話になりますが、遠心力鋳造という方法でつくっています。金型を高速回転1分間に2千回転させ。その中に溶けた鋼を入れますと遠心力で金型に均一にへばりつき、固まるとパイプができているという仕組みです。

原料であるニッケルは最近は需要と供給の関係で値が決まるのではなく、投機の対象になっているケースがあるんですよ。ですから、2年ほど前は凄く値上がりして。今はキロ2000円ですね。金がグラム3000円ほどですから、その1500分の1ぐらいです。

神林:もう一つのチューブについても教えてください。

山下氏:先ほど石油精製の話がありましたが、石油精製で使用されるのがキャタリストチューブです。石油精製ではガソリンの中から不要分を取り除き、亜硫酸ガスがでないようにします。硫黄は水素を使って脱硫という作業で取り除くのですが、その水素をつくるプラントで使われるのです。途上国では肥料を作るプラントでも使われます。製造方法としては、これも遠心鋳造でパイプを作って長さによっては溶接でつなぎます。

神林:他にはどんなものを作っているのですか。

山下氏:売り上げの80パーセントは以上2種類の反応管ですが、高炉メーカーに納めるロール類、自動車の部品を熱処理するための熱処理炉用の耐熱性の必要な部品や、耐摩耗性を必要とする部品も製造しています。他にもチューブシートという、パイプが動かないように固定するものも作っています。これも高温の炉内で使われるので耐熱性が要求されるんです。

神林:御社の拠点はカナダにはこちらだけですか。

山下氏:そうです。同じ工場が大阪の枚方市にあります。そしていまサウジアラビアに、やはり同じようなプラントを建設中です。世界規模で展開中の事業です。

神林:同じような工場が3箇所あるということは、担当のマーケットは分けているんですね。

山下氏:現在、カナダは南北アメリカとヨーロッパ、日本はアジア圏、中近東。サウジアラビアの新会社設立により担当地域も見直されると思います。

神林:なぜ御社はオリリアという場所にあるのですか。また、従業員さんは何人いらっしゃいますか。

山下氏:従業員は約300名。この地にある経緯は、1990年に鉱山経営の会社の子会社であるファラメットという会社を買収したんです。その会社がここにあったからですね。

神林:山下社長ご自身のご経歴を教えてください。

山下氏:海外駐在はこれが初めてです。しかも単身赴任というのも初めてですね。私は57歳ですが、それで初の海外赴任だと本当に色々な面でチャレンジです。

神林:カナダがご駐在第1カ国目なんですね。生活面でも苦労されることはありますか。

山下氏:日本では会社から帰って座ると動かないんです。「おい、お茶」という感じでしたよ。しかしここでは、頑張って自炊もしています。得意料理(?)は卵料理ですが、この間は目玉焼き作ろうと思ったらスクランブルエッグになってしまったり。あとは冷凍のチキンウィングを電子レンジに入れていますね。これからいろいろ勉強していきたいと思っています。

神林:ご出身はどちらですか。

山下氏:大阪です。いままでずっと大阪で、工場勤めと本社勤めを繰り返してきました。本社は難波、工場は枚方です。

神林:ご趣味は何ですか。好きなスポーツなどありますか。

山下氏:スポーツはあまりしませんが、趣味は囲碁です。大阪の碁会所では8段格で打っていました。残念ながらこちらでは相手がいないのでやっていません。始めた当時はマージャン全盛期でしたが、独身寮にいるとき碁を覚えまして。30年を超えていますね。

神林:今は打てなくて寂しいですね。

山下氏:寂しいというより禁断症状が抜けました。最近は1週間に1回ぐらいになっていましたが、昔は毎日通っていたんですよ。普段、仕事を夜遅くまでやっていましたが、7時半に会社を出れば1局打てるんですよね。7時半には出よう!というのを目標に仕事をしていました。

神林:今一番の楽しみはなんでしょう。

山下氏:同じく駐在員である芳賀さんに色々連れて行ってもらって飲みに行くことですかね。ゴルフは暖かくなったら芳賀さんに教えてもらって始めようと思っています。

神林:カナダにいらっしゃって2ヵ月半ですが、どんな印象をお持ちですか。

山下氏:きれいな国ですよね。出張ベースでは10回ほど来ていたのですが、本当にきれいなところだと感じていました。紅葉もいいですし。ただし冬のオリリアは厳しいですね。

神林:トロントとオリリアでは確かに雪の量も違いますね。先ほどゴルフとおっしゃいましたが、他にカナダでやってみたいことはありますか。

山下氏:ゴルフを始めること以外では、ビジネスの話になりますが、今、私のような管理職が日本から派遣で来ていますけど、将来はカナダ人が運営していけるような会社にしていきたいと思っています。大変ですが、私にとってはいい思い出というのはしんどいときにできることが多いですから。そして新しいことが連続の毎日を楽しみたいと思います。

神林:生活の面でもビジネスの面でも大きなチャレンジですね。頑張ってください。インタビューにご協力いただきありがとうございました。

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